2006年01月23日

雑記 変化の多様性

 囲碁の変化の多様性については、誰もが実感した経験があると思います。幾ら極めても極めつくせない、といった奥深さがあると、直感的に感じる人もいるのではと思います。
 作家川端康成氏が揮毫した「深奥幽玄」という掛け軸も有名なものと思いますが、実際問題としてはどうなのでしょうか。

 マイクロソフトのビル・ゲイツ氏も囲碁を知る人物でですが、以下の様なコメントを残しています。
「囲碁は正方行列で平方因子が19、因子が361あり、難しいゲームなのです。
色々分析する上で、碁はチェスよりも難しく、チェスはチェッカーよりも難しいのです。」
 どうやら、19路の正方形のマスがあり、石を打つ交点は全部で361あるから、複雑で(コンピュータが人間を超えるのは)難しいと言っている様な感じです。
 6路や9路から始めて、いざ19路に入ると、盤面が大きく感じたりもしますが、上記にあるような奥深さは、どうも囲碁の盤を見ただけではピンと来ません。

 しかし、ビル・ゲイツ氏のコメントを補充するような説明が、以前紹介した書籍の中に記されています。
 普通19路の碁盤では、盤面に石が何も無い状態で、361箇所打てる場所があります。初手をこの361通りの選択肢の中から、一つ選びます。

 次に、360通りの中から相手が一つ打ち、また三手目に自分の番になり、359通りの中から一つ選択する…といった事を数学上では、階乗と呼びます。
 囲碁の場合は361の階乗で、10の768乗という事になるらしいのですが、その数値は銀河系の原子数より多く、全宇宙の粒子の数は、10の80乗という事らしいので、桁違いに多い様です。

 ちなみに、「いろは48文字」で作られる俳句は48の17乗で、計算上10の28乗となります。これでも、現実には太古からほぼ無限の俳句が作られ続けているのです。
 実際問題は、俳句は濁点を除く48文字で計算されており、又囲碁は初手に1の線に置く事は先ず無いでしょうから、理論上よりは若干違って来るでしょう。しかし、文字通り「ものの数では無い」と言った所です。

 これにより、現存する最古の棋譜(碁を打った記録)から現代の、世界中のアマやプロ棋士の棋譜に至るまで、一つとして同じものは無いという理由が判ります。事実上無限大の変化ということです。
 
 アマやプロ棋士は、古くから行われた研究から学んだり、体験を通じてこの無限大の変化に挑戦する訳ですが、数学者やコンピュータ技師等は理論的に、囲碁の解明に挑戦する訳です。

 世界で初めてコンピュータ囲碁をプログラム化した、ゾブリストという人は1968年11月に学位論文として発表した中に、石の廻りへの影響という考え方を使い、黒石と白石の強さをそれぞれ50ポイントとして、隣り合う呼吸点(線の交点)に、プラス1ポイント、或いはマイナス1ポイントを与える、今で言うポテンシャル理論というのを考案したようです。

 また日本でも、和田博という博士が、この理論を拡張して「碁石は生命体であるので振動している多数の石の振動の波が干渉することにより、安定点が出来たり、不安定点ができたりする。 振動、すなわち波の数学的記述は次のようになる・・・Acos(βz-ωt)ここで、Aは波の振幅βは・・・以下略

 しかし、実際上コンピュータ(囲碁ソフト)が人間を凌ぐ程のものが、未だに誕生しておらず、どうしても人間の方に分があります。
 その人間にしてからが、未だ無限の可能性を秘めているとも言えると思います。そう考えると実に神秘的に思えてきます。

参考文献(囲碁と脳の働き「和田博編著」−出版文化社)
posted by SeaChild at 21:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記| Edit
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